企業はさまざまな危険にさらされています。なかでも中小企業には大企業にはない、固有のリスクが存在します。今回は中小企業を取り巻くリスク及びその対処方法について考えていきたいと思います。

経営者リスク

　中小企業にとっての一番のリスクは、社長に万が一があった場合の経営に及ぼす影響です。一般に中小企業では、社長が経営と営業のすべてを取り仕切っている場合が多く、社長の死亡により会社が成り立たなくなり、工場等の閉鎖により多額の産廃費用が掛かったり、会社自体の解散により従業員を路頭に迷わせてしまうということはありえる話です。また、そのような会社では、社長個人が会社の借入金の連帯保証人になっている場合があり、その借金が残された家族に降りかかってくるということも考えられます。

　経営者として、従業員・家族のためにも経営者死亡保険で不測の事態に備えるべきです。

　従業員を雇用するということは、リスクを増やす原因にもなります。具体的には怪我や病気、失業さらには将来の年金や退職金のことも考えなければなりません。

　前者に関しては、労働保険で対応できますし、業務上以外の傷病もカバーしたいのであれば民間の傷害保険に会社で加入することもできます。

　後者についても公的制度でカバーでき、年金については社会保険、退職金については中小企業退職金共済に加入することです。

　なお、社会保険制度は社長、役員でも加入できますが中小企業退職金共済制度は従業員のみの制度になりますので、社長、その他の役員の方に関しては、会社契約ではなく個人契約で小規模企業共済に加入することをお勧めします。

　また、従業員を雇う場合には予め労働条件等を規律した就業規則を作成しておくと後々のトラブルを未然に防ぐことにつながります。

　その他、店舗をもって行う業種に関しては店舗内で起こった事故に対する損害賠償に備えるための施設賠償責任保険、製造業・請負業に関しては商品の欠陥や作業ミスにより第三者に損害を与えた場合の損害賠償に備えるための生産物賠償責任保険(ＰＬ保険)など、万が一に備えて、損害保険会社を有効に利用することも考えておきたいものです。