IT関連の技術進歩は目覚ましいものであり、今やパソコンを媒介した加入料や基本料金が不要かつ加入者間の無料通話が可能なIP電話といったものも普及しつつあります。
こういった時代を背景に、一般の電話加入権は年々資産価値が下落しており、当局側も最終的には加入料を廃止する方針を打ち出しております。
今回は、この電話加入権の現状の経理処理(資産価値)や相続税評価額、今後の経理処理の展望について、触れていきたいと思います。
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現状の電話加入権と経理処理 |
一般の加入電話に加入するときには、加入料を支払うタイプのものと支払わないタイプ(ライトプラン)がある。一見すると後者がお得なようであるが、後者は加入料相当分として一定額が月々の使用料に加算される仕組みになっている。
経理処理方法は、加入料は資産計上され、その後の償却(費用計上)は認められていない。しかし、加入料相当額を月々の支払額に上乗せされているライトプランでは、使用料全額が、通信費として全額経費処理されている。
だとすると、一般の電話加入権自体の償却も認めても良い気もしないでもない。
ちなみに、加入権をNTTに返還しても加入権相当額の返還を受けることは出来ないが、一般の売買市場において売買することは当然可能である。また、加入権を質権の設定対象にすることも出来るということも、加入権を資産計上する根拠に挙げられる。
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相続税評価 |
加入権は、正規の価格では、72,000円であるが、相続税評価額として国税庁が発表している標準価額としては、10,000円(H16年国税庁発表)である。
一般的な考え方として、相続税評価額は時価の7〜8割に設定される。現状の加入権の売買価格が2万円弱で取り引きされていることを考慮すると、当局の評価は、的を得ているといえる。
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今後の経理処理 |
現状、検討段階ではあるが、加入権廃止が確定されれば、税務上も加入権の償却が認められる可能性は高い。平成8年に携帯電話加入権が廃止され、同加入権の償却について法人税の基本通達が改正されたことからも、今回も何らかの改正が予想される。
ただし、今回の加入権は国内全体で総額4兆円もの金額となっており、決算書に与える影響が多大なものであるので、全く同じ改正になるかは、今後の経過を見守りたい。
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