新たな年を迎え今年も所得税の確定申告の時期がやってまいりました。今回の申告に関して言えば上場株式の関係以外大きな改正点は見当たりませんが、来年の確定申告からは配偶者特別控除等大幅な変更があります。中でも今年の税制改正で世の中を騒がせているのが、土地建物等の譲渡損失に関する取り扱いについての改正です。

損益通算・繰越控除の廃止

　原則として、土地建物を売却して損をしたとしても、その損失を他の所得と相殺すること(損益通算)が出来なくなります。また青色申告をしている方は今回の申告までは、その年に相殺しきれなかった場合その売却損失を翌年以後3年間の所得と相殺(繰越控除)できるのですが、これもできなくなります。

　しかし原則があれば当然特例もあります。土地建物のうち5年超所有していた住宅の売却損については、新しくローンで買換えをすること等を条件に、今までどおり損益通算及び翌年以後3年間の繰越控除が認められ、さらに今回の改正で売却した土地建物に係るローンが残っていなければならないという条件がなくなりますので適用はより受けやすくなります。

　さらに住宅の売却損については新たな制度が創設されます。売却住宅のローン残が売却価額を上回る場合には、その上回る金額を限度に損益通算及び繰越控除を認め買換資産の取得は問わないというものです。

　簡単な金額で考えると、5千万円で購入したマンションを3千万円で売却し、そのマンションに係るローン残額が4千万円あるという場合で考えると、売却損が2千万円で上回る額が1千万円であるので、通算・繰越の対象になる金額は1千万円になります。

※なお、住宅ローン控除については平成16年は今までどおりで、来年以後徐々に縮小される予定です。