◇令和6年度の最低賃金の改定
令和6年10月1日から最低賃金が改定となり、今年度は、ここ最近の物価上昇や春闘の結果を踏まえ、全国平均の引き上げ額が中央最低賃金審議会が示した引き上げ額の目安を上回り、過去最高の51円の引き上げとなりました。結果、最低賃金の全国平均は1,055円となり、国が想定した1,054円を上回りました。東京都が全国最高額の1,163円、秋田県が全国最低額の951円となります。
最低賃金は、社員.パート.アルバイト等の名称、雇用形態にかかわらず、全ての労働者に適用されますので、必ず確認をし、最低賃金を上回るようにしましょう。月給者、日給者の給与については所定労働時間等で給与額を割るなどして時給単価に換算し確認をしてください。

○最低賃金(時給)(単位:円)

R5

 

R6

 

R5

 

R6

東 京

1,113

1,163

神奈川

1,112

1,162

埼 玉

1,028

1,078

千 葉

1,026

1,076

[最高]  1,163円(↑50円)[最低] 951円(↑58円)
[全国平均]1,055円(↑51円)



◇仕事と介護の両立支援制度の強化
 令和7年4月より育児・介護休業法が改正され、介護離職防止の目的とした仕事と介護の両立支援制度が強化されることになります。これにより介護離職防止のため以下に示す措置が事業主の義務となります。
@ 労働者が家族介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別周知・意向確認を行う
A 両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(従業員への研修等)を行うこと
B 介護休業については既存の勤続6月未満の従業員を労使協定に基づき除外する仕組みの廃止
C 家族を介護する労働者に関し、事業主が講ずる措置(努力義務)の内容にテレワークによる勤務を可能とすることを追加すること(テレワークの推進)


◇出生後休業支援給付の創設
 令和7年4月より出生後休業支援給付が創設されます。
当該制度は、子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、雇用保険の被保険者とその配偶者がそれぞれ14日以上の育児休業を取得した場合、被保険者の休業期間につき28日間を限度に、通常の育児休業給付に休業開始時賃金の13%相当額を上乗せして給付金の支給を受けることができる支援制度です。これにより従来の育児休業給付の支給額と併せて、休業開始時賃金の80%相当の保証が受けることが可能となります。(休業前の手取り額を想定)





◇育児時短就業給付の創設
 また、令和7年4月から雇用保険法において、育児時短就業給付も新たに創設されます。
 育児時短就業給付は、2歳未満の子を養育する雇用保険被保険者が時短勤務をしている場合、時短勤務中の各月に支払われた賃金額の10%を給付支給する制度です。 この制度は時短勤務を選択することによる賃金低下を給付金によって補うことで、育児中の従業員が時短勤務を選択しやすい環境をつくり、子育てとキャリア形成の両立を支援するのが目的です。また給付対象となる子の年齢を「2歳未満」に限定することで時短勤務の長期化・固定化を防ぐという観点に配慮されています。
来年4月より育児・介護の分野では制度が拡充されますので十分な理解と対応が必要となってきます。