◇届出様式の変更
健康保険及び厚生年金の手続書類が今年度、大きく様式変更となっております。主な変更点は資格の取得、喪失の際に個人番号(マイナンバー)記載が必要となった事です。これによりマイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者が住民票を移した場合、住所変更届の提出が不要となりました。また、氏名を変更された際も手続が不要となっております。しかし、政府管掌の協会けんぽではなく組合管掌の健康保険組合に加入の被保険者の方々については、マイナンバーでの個人情報の変更をまだ行う事ができませんので、引き続き住所変更等の手続きは必要となっております。
◇賞与計算の注意点
夏季における賞与支給や9月決算においての賞与支給を検討されている事業主様も多いと思います。
賞与計算は、通常の給与計算とは控除する社会保険料、源泉所得税の計算方法が異なります。源泉所得税でいえば、給与所得の源泉徴収税額表に社保控除後の給与金額を当てはめて計算するのではなく、前月に支給された社保控除後の給与金額をもとに料率を算出し、乗じて源泉所得税を計算します。また社会保険も保険料額表に当てはめるのではなく、千円未満の端数を切捨て直接保険料率をかけて計算を行います。賞与計算を行う際は、通常の給与計算のやり方と異なる点に注意が必要です。
ご不明点等がございましたら、当事務所までお問い合わせください。
◇外国籍の方を雇用する際の注意点
昨今の人手不足が続く状況にあたり、外国籍の方の雇用をご検討されている事業主の方も多いですが、不法就労とならないよう下記の点において注意が必要となります。
在留カード、外国人登録証明書等により、在留資格の種類が従事させようとする業務条件下での就労が可能かどうかの確認及び在留期間を確認し、業務に従事させることのできる期間の確認を必ず行ってください。
その後雇用をした際は、その方の氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域をハローワークに届出する事が必要となります。また、社会保険の適用、最低限の労働条件および各労働関係の法令順守等は、日本人労働者の方とほとんど変わりませんのでご注意ください。
◎労働者を雇う上でのルールづくり
今年度の人事・労務通信では、昨今の働き方改革や労働関係に関する問題が急激な増加傾向にあることを踏まえ、人を雇用するうえで事業主として行わなければならないルールづくり等を随時掲載していきます。
◇時間外・休日労働に関する協定届(36協定)
法定労働時間及び法定休日を超えて従業員を労働させる場合、事前に労使間で書面による協定を締結し、労働基準監督署に届け出ることが必要となります。
この協定(通称36協定)は、残業や休日出勤がある場合は届出を行っていないとそれだけで労働基準法違反となってしまう非常に重要な協定書となります。残業、休日出勤を少しでも行う予定がある場合は、作成と届出が事前に行われているか今一度、ご確認ください。
協定しなければならない事項は下記内容となります。
(1)時間外労働をさせる必要のある具体的な事由
(2)時間外労働をさせる必要のある業務の種類
(3)時間外労働をさせる必要のある労働者の数
(4)1日について延長することができる期間
(5)1日を超える一定の期間について延長することができる時間
(6)有効期間
36協定は、上記6事項を書面により協定として締結し、労働者の代表者の署名又は記名押印したものを労働基準監督署に届け出る事によって、初めて残業、休日労働を行わせることができる効力が発生します。よって、36協定の届出を行っていない場合は、たとえ残業代を支払っていたとしても時間外労働・休日労働を行わせる事ができる効力が発生していない事になりますので法令違反となります。近年、労働基準監督署からの調査及び労働者の方からの未払い残業代の請求があった場合は重要な確認資料となり、必ず提示が求められますので細心の注意が必要です。
当事務所では、36協定の作成及び届出等も行っております。協定の締結、書面の作成等でのご不明点等ございましたら、お問い合わせください。