◇厚生労働省が長時間労働の疑われる事業場に対する監督指導結果を公表しました。
厚生労働省では、我が国で問題となっている長時間労働の削減に向けての取り組みの一環として、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導を行っており、この度、平成28年4月から平成29年3月までに行われた労働基準監督署による監督指導の実施結果を公表しました。
○今回の監督指導の実施事業所:23,915事業所
このうち15,790事業所(調査対象の66.0%)で何らかの労働基準関係法令の違反がありました。主な違反内容は下記の通りとなっております。
@違法な時間外労働があった事業所
10,272事業所(調査対象全体の43.0%)
うち、月80h超えの時間外労働 7,890事業所
うち、月100h超えの時間外労働 5,559事業所
うち、月150h超えの時間外労働 1,168事業所
うち、月200h超えの時間外労働 236事業所
A賃金不払い残業があった事業所
1,478事業所(調査対象全体の6.2%)
B過重労働による健康障害防止措置が未実地
2,355事業所(調査対象全体の9.8%)
長時間労働の一つの基準として、1ヵ月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、脳・心臓疾患の発症と業務との関連性が強いとの医学的知見がみられる為、今後も厚生労働省は月80時間を超える時間外・休日労働が疑われる事業場などに対する監督指導の徹底をはじめ、長時間労働の是正に向けた取り組みを積極的に行っていく方針のようです。
◇しっかりとした労務管理・記録が会社を守る。
厚生労働省は、長時間労働事案の是正の他にもう一つの重点課題として、未払賃金トラブルをあげております。
実際に起こる事案としては、従業員が離職後ある日突然、2年以内の未払残業代や休日労働手当を会社に請求する内容の書面を送付してくる、といったケースです。
ご存知の通り、法定労働時間を超えた部分の労働に対する時間外労働分について及び休日に労働させた場合は、休日労働分についての割増賃金を支払わなければならないことが法律で規定されています。会社としては労働者の労働時間を管理・監督する義務があり、未払残業代請求事案では、タイムカードや勤怠表等での労働者の出退勤の記録がない場合、実際に働いてもいない時間分の未払残業代等まで請求されるといったケースも少なくありません。
そのようなケースにならないためにも、また働かれている方々の健康のためにも、日頃から従業員の方々の労働時間や勤務内容等のしっかりとした労務管理・記録をお願い致します。
◇外国人を雇用する際の注意点
近頃、飲食店、小売店などで外国人労働者を多く目にするようになりました。外国人を雇用する場合の主な注意点を下記に記載致します。
●日本で就労できる外国人は、「出入国管理及び難民認定法」により限定されます。外国人を雇用する際は、必ず就労可能な在留資格(ビザの種類)であるかをご確認ください。
●外国人でも日本国内で労働する限り、日本人労働者と同じように労働基準法をはじめ労働関係法令の順守が必要となります。
また、労働保険、社会保険も同様に適用されます。
●外国人労働者は、日本の法令、職場慣行を理解していない場合があり、企業側とトラブルが生じる可能性があります。トラブルを未然に防止する為、文書による労働契約を締結し、企業と外国人労働者との権利義務関係を明確にしておくことが重要です。