多くの方が「失われた20年」という言葉を聞いたあるいは使ったことがあると思います。しかし、「失われた20年」とは、何が失われたのかは意外と知られていません。
実は、これはGDPの数値を指しています。
1991年のGDPは「469.12兆円」であるのに対し、20年後である2011年のGDPも「469.12兆円」(全く一緒)だったのです。
つまり、この20年間GDPは上がっていません。この上がっていないことを「失われた」と言われていたのです。
ちなみに、GDP(国内総生産)とは、国内で一定期間に生産された財やサービスの付加価値の合計を言います。これは、国の経済の規模を示します
この付加価値とは、財やサービスの生産額から生産するために要した費用を差し引いたもの、すなわち、「売上−仕入」=「粗利(あらり)」です。
また、この仕入の7割は人件費が占めているので、GDPが増加するということは給与が増えることになります。
実際には「民需(消費+投資)+政府支出+貿易収支(輸出−輸入)」となります。消費(家計の支出)はGDPの55%を占め、投資はGDPの15%を占めています。
そうしますと、昇給がないのは当たり前、また、31年ぶりの貿易赤字もこのGDPに影響しますので、今後の見通しも上がるとは考えにくいことになります。
さらに、一人の就業者が物やサービスの付加価値をどれだけ生んだかを示す「労働生産性」は、先進7か国で最下位(1位フランス、3位アメリカ)です。
さらに、有給休暇消費率は24ヵ国中最下位です。
つまり、休暇がとれないほど忙しく働いているのに利益が出せない状態ということになります。
これを打開するには、高度な効率が要求されます。
人材教育に力を入れ、事業の動線の見直しを図り、新たなIT導入も視野に入れ、また、アウトソーシングの検討も行い、ムリ・ムダ・ムラを無くす仕組みを考えなければなりません。